魚のさばき方

大名おろしと松葉おろし

 

大名おろしとは、いわゆる三枚おろしを簡略にしたものです。中骨に身が残ってしまうことから贅沢であるということで、大名おろしという名前が付けられています。このおろし方は、ほとんどの場合小さな魚に使用されます。

 

例えば、キスやサンマ、小アジ、小サバなどの魚です。要するに、いちいち丁寧な三枚おろしをやっていられない場合や、この方が具合が良い場合などに使用される方法なのです。

 

魚をおろす際に、腹や背中から切り込みを入れるのが通常の三枚おろしですが、この切込みを入れずにいきなりおろしてしまうのが大名おろしです。頭側からでも尻尾側からでもどちらからでもよいですが、包丁を入れたら中骨にそって包丁を滑らせ、半身を切り取ります。

 

このときに、半身を切り離さず、どちらか一方をくっ付けたままにしておけば、いわゆる開きとなります。この大名おろしから中骨だけを切り取り、尻尾を切り離さずにおろしたものを松葉おろしと呼びます。

 

この場合には、頭の方から包丁を入れて、尻尾の手前で止めます。ひっくり返して同じように包丁を入れ、最後に中骨だけを切り取ります。

 

出来上がった形は、尻尾から左右に魚の身が分かれているので、松葉のようになるのです。このおろし方は、キスやメゴチの天ぷらなどによく使用されており、実際にそれらを見かけることも多いと思います。